2007年02月13日

702 結社は滅私奉公の場所ではない、私の場所だ。

 「短歌新聞」紙上において沢口芙美氏は、「結社の功罪の『功』のほうに現在は目が向いている」と書いておられる。短歌6年目の僕には、結社の『罪』というほうの意味がわからない。歌壇にとって結社というのは不可欠であり、これなくしてそもそも歌壇というものがありえないだろう。昔(僕の感覚では二十年くらい前か)の結社のことは知らぬ。たぶん、さぞかし締め付けが強かったのだろう。選者を変えたり、派閥を乱したり、あまつさえ結社を移ったりした歌人には無視黙殺冷や飯食いの刑が待ちかまえていた(と推察する)。この悪習を引きずって〇〇先生の悪口はひと言も許さない、とか、結社内結社というものが大手をふっているような集団には未来はないだろう。結社とは、あくまで参加者ひとりひとり、本人の短歌的進歩のためにあるのであって、集団あるいは集団ない集団へのご奉公が優先するなど、非文学的営為以外のなにものでもない。僕は、そんな結社はどんどん潰れるがいいと思っていい。自然淘汰の法則にしたがって黙って絶滅するのが短歌の質的向上のためにもなるだろう。
 短歌は、人に教えられてやるものでは絶対にない。いまだにだれそれの師系、などということに拘泥している一派もいるが噴飯ものである。短歌は独学をもって本道とする。もちろん、そのためには人の歌を山ほど読まなくては駄目だ。人の歌、というのはすでに評価の固まった大先生の歌、という意味ではない。玉石混交たる結社誌の歌を読めということなのだ。僕は、系統的に短歌を勉強するのは、すでに不可能だと諦めている。知識として吸収するには、脳細胞がすでに崩壊の季節に入ってしまっている。だから、結社誌に掲載された歌を読むことのほうが、自らの方向性を見極めるうえで有益なのである。先人の業績を追いかけていたら、うっかり自分の資質と全然関係ない袋小路に入ってしまっていた、なんてことになりかねないが、結社誌においてその心配はない。かつて力道山は、若手プロレスラーに対して、「自分だけのプロレスのスタイルを作れ」と檄を飛ばしたそうだ。結社は、そのスタイルを示唆してくれる重要な場所である。
 いまだ結社に入っていない若者たちよ。入りなさいいま入りなさい。選歌を受けなさい。選を受けるというのは大事なことだ。他人の目が自分の歌をどう評価するかという里程標となる。もちろん、頭に来たり喜んだり天にも昇ったり怒り狂ったりするだろうが、その葛藤こそが大事なのだ。自分ひとりで垂れ流し、決して批判をくれないネット友達なんぞに慰撫されてたってそれだけのことである。貴方独自の方向性は見つからず、継続性も保てないだろう。結社に入ったからといって、自由が束縛されたり滅私奉公を要求されるとは限らない。僕みたいに、歌を発表し、歌を読むということに徹底し、組織からは距離を置くというスタンスがこの通り可能なのだ。結社に所属するからには批判はあいならん脱会してから言え、運営に尽力してるかたがたに気を遣えなどという意見も最近あったが、本末転倒もいいとこである。感謝を忘れはしないが僕が批判をやめたりご奉公せねばならぬ理由はなにも、いいですか、なにもなく、これを読んでこれから結社に入るあなたもそうなのですよ。何度も言うが、そんなことを会員に要求する結社は衰退していくのみである。もちろん、野心を持って、結社でのしあがるために組織に近付く、というマキャベリ的人物も必要である。要するになんでもありの自由でいいのだ。
 そして結社は、二つ入るべきである。一つではあかん。その結社に染まってしまう。僕は現在、「塔」と「短歌人」に入会しているが、面白くてしょうがない。歌風が違うからだ。たとえば、「短歌人」で選評を受けた作品は、わが意を得たり、だが、「塔」で同じく選評を受けたのものは、一首をのぞいて、数合わせの捨て歌にするつもりだったものばかりだ。これには驚く。また勉強になる。二つの結社のカラーを滋養にしながら、僕は自分なりの歌を作っていきたいと思っているのだ。インターネット歌人よ、今にらんでいるモニターから離れ、結社申し込みのハガキを書きなさい。別にPRするつもりは毛頭ないが、「塔」「短歌人」はあまたある結社の中でもかなり自由な気風を持った集団であると僕は思う。俺がこうして平気で存在できるのがその証拠だと言えばかなり説得力があるだろう。結社「K(1)」や、「K(2)」や「M」では、たぶんとっくに吊るし上げをくいすまきにされて表に放り出されているであろう。もう一度言うが、結社に参加する、ということは、結社に奉仕することではなく、徹底的に自分自身の歌を追及するための手段であるということだ。これを忘れてはならない。
ニックネーム 茶トラのみんく at 22:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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