2007年06月09日

800 情熱より情念

 昨日の日記にものすごいアクセス数である。また、有友紗也香さんの歌をピックアップした過去の日記のアドレスをアップしておいたらそれもまたアクセスが殺到している。みなさんありがとうございます。おなじ「塔」の田中雅子の場合もそうだが、彼女らの歌が今後さかんに読まれるとしたら、自分の歌が読まれるのと同じくらい嬉しい。有友、田中の両氏は、僕のもっとも好きな女流歌人とさえ言える。なぜなら、いまどきの歌人が持ち合わせていない、巨大な情念の塊をその魂のうちに持っているからだ。当世受けはしないかもしれないが、歌を詠む、というのはつまりこういうことなのだと、この二女性から学ぶ思いがする。歌がなければ生きていけない、という心情がせつせつと伝わってくるのだ。そういう若手歌人は今どき絶滅危惧種であろう。なにを気取っているのか、「どうしても短歌でなくてはならないということはない」とか「たまたま短歌だっただけすよ。ふっ(笑)」などというすっとこどっこいがままいるが、スカしてんじゃねえこの野郎。新人賞の選考委員も、やれ浮遊感覚だ現代のなんたらがかんたらだではなく、歌わずにいられないだけの切羽詰った内面を持った、スケールの大きな歌人をズームアップしてほしい。何度も言って恐縮だが、佐佐木綱が選考委員に入っていない年の「短歌研究新人賞」は最悪である。佐佐木は、新人を発掘する目はあると僕は思っている。でなければ、あの「サラダ記念日」をプロデュースするわけがない。
 ひさびさに「塔」のバックナンバーを読み返す。僕は入会五年目だが、年月は経っているのだなあ、としみじみ実感した。いいな、と思う歌人のかたがたの多くが長期欠詠ないしは退会、物故されたかたもいる。また、新入会員のかたがたの紹介のコメントの欄があり、その多くは意欲に燃えたことを語っているが、その後ちゃんと出詠し続けている人はおよそ2割くらいにすぎない。十人入会しても、二人しか残らないということだ。もったいないことである。歌を作るのに、情熱だ愛情だと大上段に構えたことを言う人がいるが、そんなものは、、ちょっと冷水をかければ消えてしまうような浅薄な感情であり、そんな言葉を僕は信用しない。短歌を作り続けるための秘訣は簡単だ。それを習慣にすればいいのである。短歌をどうして作り続けるのか、という問いに対して、情熱があるからとか好きだからとか答える人より、「習慣です」と答える人のほうを僕は信用する。習慣、カスタムである。これほど強い言葉はない。朝8時に散歩をする人のように短歌を作ることを習慣にする、これこそが、歌を作り続けることの秘訣である。いい歌なんて、そうそうできるものではない。その大部分は駄作なのだ。十首作って一首ましなのができれば上出来である。とにかく、ひとたび結社に入ったものの犯しうる最大の罪、それが「欠詠」である。どれだけできない月があっても書け。読者にはその苦悩は伝わるはずだ。少なくとも僕にはわかる。一年ぶりくらいに思い出したように出詠してほめられたってそれだけの話であり、歌がどれだけよくても、俺はそいつを歌人として認めないし歌集を出しても買ってはやらん。下手な歌を詠む、それもまた歌人の魅力なのである。

      今日のMYビデオ
「天使のはらわた〜赤い教室」(1978年、日活、曽根中生、脚本・石井隆、音楽、泉つとむ)水原ゆう紀、蟹江敬三、草薙良一、水島美奈子
ニックネーム 茶トラのみんく at 00:34| Comment(6) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
有友紗也香さんの妖艶な作品ピックアップは、とても興味深く読みました。今、紗也香さんが生きていれば、20代なかば頃でしょうか。彼女の実人生と、現在の作品にとても興味があります。女流歌人と呼ぶにふさわしい、華やかさと、哀愁の二面性のある詠みてさんだと思います。
Posted by at 2007年06月09日 08:41
>宙様
 ちょ、ちょっとお待ちを。有友さんはべつに亡くなったわけではありません。26、7くらいでおられると思います。お顔は存じ上げませんが、なんとなくイメージがわきます。でもちょっと、彼女のことで勝手に騒ぎすぎかな、と反省もしております。
Posted by ひでお at 2007年06月09日 22:39
あ、申し訳ありません。想像が度を越えすぎました。有友さんは今、26、7くらいなんですね。どんな顔の方か興味があります。作品から(またもや、私の勝手な想像ですが)推測すると、岩井志麻子氏の『ぼっけいきょうてい』の表紙のような女性が思い浮かびます。
Posted by at 2007年06月15日 08:57
>宙様
 僕の、有友さんに対するイメージは、大映時代の関根恵子(現・高橋恵子)です。有友さんの歌からは、関根の演じたヒロインの姿を彷彿とさせられます。なので、有友さんの歌を読むとき、どうしても関根恵子を重ね合わせてしまいます。読者の勝手なイメージですが、そのような夢想を誘う歌人という存在は貴重だと思います。
Posted by ひでお at 2007年06月16日 20:55
>宙様
 僕の、有友さんに対するイメージは、大映時代の関根恵子(現・高橋恵子)です。有友さんの歌からは、関根の演じたヒロインの姿を彷彿とさせられます。なので、有友さんの歌を読むとき、どうしても関根恵子を重ね合わせてしまいます。読者の勝手なイメージですが、そのような夢 想を誘う歌人という存在は貴重だと思います。
Posted by ひでお at 2007年06月16日 20:57
>宙様
 僕の、有友さんに対するイメージは、大映時代の関根恵 子(現・高橋恵 子)です。有友さんの歌からは、関根の演じたヒロインの姿を彷彿とさせられます。なので、有友さんの歌を読むとき、どうしても関根恵子を重ね合わせてしまいます。読者の勝手なイメージですが、そのような夢想を誘う歌人という存在は貴重だと思います。
Posted by ひでお at 2007年06月16日 20:59
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