2007年07月24日

838 ACTION!

 芝居の演出のダメ出しの常套句に、こういうものがある。「気分で芝居をやるんじゃねえよ馬鹿」。これは確かに言える。気分だけで芝居やってるやつなんて見られたもんじゃない。自己陶酔そのもので、なんの表現にもなっていない。かと言って、理屈っぽくなるのもよくない。その場合は、芝居が説明に陥っていてキャラクターの人間性が出てこない。私は今こういう気持ちでいるんです、という説明になってしまっているのだ。ここが、舞台における演技の難しいところだが、気分でも説明でもなく、的確な具体的表現をもって芝居をしなければ、観客を惹きつけることはできないのだ。常にヴィヴィッドに相手役に反応し、瞬間瞬間を生きていなくてはいけない。つまり、アクションが持続しなくてはいけないのだ。
 これは短歌にも言える。昨日も書いたが、歌は説明であってはいけない。また、気分だけを詠んではいけない。常に具体がなければ駄目だ。これは抽象詠においても言える。映画監督には、そのカットを撮影する前に、「よーい、ハイ!」と言う人が多い。そこでカチンコが鳴り、演技が始まるのだ。アメリカだったらさしずめ「Action!」であろう。数分、あるいは数秒のカットに監督も役者もその全存在を没入させるのだ。歌も同じである。ほんの短い間のアクションだと僕は思う。刹那の感情、あるいは空気を捉え、韻律にする。短歌とはまさに、五七五七七のアクションなのだ。
ニックネーム 茶トラのみんく at 22:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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