2007年11月11日

920 中村錦之助と森雅之〜お小姓文化を描く!〜

   今日のMYビデオ
「武士道残酷物語」(昭和38年東映京都、今井正、原作・南條範夫、脚本・鈴木尚之&依田義賢、撮影・坪井誠、音楽・黛敏郎)中村錦之助、有馬稲子、森雅之、加藤嘉、岸田今日子、渡辺美佐子、三田佳子、西村晃、東野栄次郎、丘さとみ、江原真二郎、佐藤慶。

 久々にこの映画を観返す。すすすすすすす、すげえ〜〜〜や、この不快感(笑)!関が原の時代から、忠義に生きた飯倉家という武士の一門の悲惨な運命をこれでもかこれでもかこれでもかと綴った、まことに心のアタタまる、今井正らしい良心作である。忠義のため娘を妾に差し出したり、妻が藩主に強姦されかけて自殺したり、さらにその忠義ぶりは昭和に入ってからも続き、恋人を汚職のために利用するというエピソードまで付け加える。その中でも印象的なのは、藩主森雅之が、飯倉家の若き後継ぎでまだ前髪の勉学中の若侍に懸想し、無理矢理ホモ強姦するエピソードである。この時の、中村を見つめる森の視線は、本物のホモかと思うほどの迫真の艶っぽい、ドいやらしい名演技である。森は、「そちを心から愛しているのぢゃああああああああ」とかなんとかうめきながら中村の腕を歯型が残るほど噛むのである。ところが、中村は森にホラれながらも、森の側室の岸田今日子を愛してしまい、関係を結んでしまう。森激怒〜〜〜〜!!!なななななんと、中村のチ××コを叩っ切ってしまい、「そんなに好きなら一緒になるがよろしい」と、去勢された中村と岸田に暇を出すのである。ところが、すでに岸田は中村の子を妊娠しており、飯倉家はその後も続いて、屈辱的な奴隷の歴史を刻んで行くのであった。あと印象的なのは、加藤嘉演じる、頭がボケてるくせにあっちだけは元気でしょうがないアホ藩主である。加藤嘉というのも怪優である。「砂の器」で満天下の観客の涙を絞りながらも、このような精薄のくせに丘さとみを強姦するという荒業をまあ楽しそうに楽しそうに演じている。あと残虐な藩主を、江原真二郎も演じているが、この役に真にふさわしいのは、菅貫太郎である。ただ、彼を使ったら今井正的には、戯画的になりすぎるので起用されはしなかっただろう。なんせ、今井監督はゲージツ派なのであるからして。そして、このゲージツ派、良心派というのが一番残酷なのである。以前、熊井啓や浦山桐郎の、映像における動物虐待のことを書いたが、今井もしかり。凶悪な藩主江原真二郎は、残酷趣味の変態で、生きた兎を庭に放って矢で射抜いて喜ぶシーンがある。矢で首を射抜かれた兎が苦痛のうめきを上げるシーンであり、これは絶対何回も撮り直しをしているはずであり、そのワンカットのために何十匹という兎が首を矢で貫かれ、苦痛のうちに悶死したはずである。そして、いちばんいい声で死んだ兎の映像が採用になったのである。熊井も浦山もそして今井も、動物たちに捧げる言葉はこうだろう。「社会正義の映画のためだ死んでくれ」。
 しかし今井は、旧制度のもとでの残虐刑や、また赤裸々な性などを描写してはいない。なんせ彼はゲージツ家なのであるから(笑)。そこをつきつめたのが、同じ東映での石井輝男である。東映は、この「武士道残酷物語」をさらにスキャンダラスに発展させて「大奥残虐シリーズ」を制作したのだろう。監督は違うが、同じ東映の鈴木則文監督の「徳川セックス禁止令」では、ちゃんとキチガイ将軍に菅貫太郎をキャスティングしているのである。なぜなら石井や鈴木はゲージツ派ではないからである。なんせ石井バージョンでは「牛裂きの股裂き」までもろ見えに見せてたもんな。ちなみにこのときのバカ殿様を演じたのは汐路章である。しかしさすがに、藩主が男を手ごめにするというやおいの世界を撮ったのは残酷物語史上でも今井正だけである。おそらく、当時のプロデューサーは、「男を男が強姦したって観客の誰が喜ぶか!」と思ったのであろう。しかし今だったら、アイドルを主役にお小姓映画を撮ったら、やおい女どもの熱狂を呼ぶであろう。今井監督の創作意図は封建制度の残酷性を描き、さらに、その呪縛から放たれていない日本人の矛盾を衝くことにあったのだろうが、今見るとはっきり言って、トンデモ映画である。ただ、非常に優れたトンデモ映画ではある。僕の記憶にある限り、日本が世界に誇るべきお小姓文化というものをちゃんと描いたのは、この一本しか知らない。諸君、想像してみたまえ。森雅之「愛いやつじゃのお」中村錦之助「お、お許しくださああいいいいい」。こんな淫靡で豊潤な邦画世界なんて他にはないぜ。興味あるかた是非ご覧あれ(いやしねえか)。
ニックネーム 茶トラのみんく at 23:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのTrackBack URL
http://269g.jp/tb/6392558